太りにくい食事

まずは知っておきたい太りにくい食事の最新理論

今から約20年前のこと。
ひとりの学者がある仮説を発表し、世間をアッと驚かせた。
その名も「モナリザの仮説」。
なにもこれ、背景が左右ちぐはぐだとか、重ねた左手が変だとか、謎の微笑みをたたえた貴婦人の肖像画にまつわる話ではない。

 

Most Obesities kNown Are Low In Sympathetic Activity.

 

この一文の頭文字をとって、すなわちMONALISA。
直訳すると、「多くの肥満者は交感神経の働きが低かった」という意味になる。
提唱者は肥満研究の世界的権威、ジョージ・ブレイ博士。

 

野菜をせっせと食べなさい、日本食は理想的なダイエット食だから真似しなさい、といくら国が指導してもいっこうに減らない肥満者の群れ。
これはもしや、食生活意外に何か原因があるのでは?
万策尽きた感のあるアメリカのダイエットに、新たな可能性をもたらした画期的発表だった。

 

ご存知の通り、生物が生きていけるのは無意識に働く自律神経の機能があってこそ。
体温を調節したり血圧を維持したり食欲をコントロールできるのは、みな自律神経がまっとうに作動しているおかげ。

 

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、ざっくり言うと前者はカラダの活動を活発にしてエネルギーを消費するよう働きかけ、後者は栄養を吸収してカラダに蓄えるよう働きかける。
いつ何時襲ってくるかもしれない外敵と戦う時は交感神経モード、カラダを求めて十分な体力を養う時は副交感神経モード。
ご先祖様たちは二つのモードを上手に切り替え、生き延びてきたわけだ。

 

で、この自律神経の機能、特に交感神経の働きが低下している人は、明らかに肥満者に多く見られるという。
実際に多くの動物実験や人での実験データからも、これを裏付ける結果が出ている。
自立神経活動が鈍い人々のグループは、そうでないグループに比べて肥満指標のBMIや体脂肪率の数値が明らかに高い。

 

過去にこんな興味深い実験も行われている。
交感神経を刺激するという唐辛子のカプサイシン、コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン。
これらを肥満グループと非肥満グループに摂らせてみたところ、同じ辛いカレーを食べても、前者はカラダが熱くもならず、濃いコーヒーを飲んでもまるでドキドキしない。
非肥満者に比べて極めて反応が鈍かった。

 

その他にも、自律神経の活動が鈍い人には、冷え性であったり、立ちくらみが起こりやすい、手足が急に熱くなるといった特徴が見られるという。

 

同じものを食べても、自律神経の働きが総じて鈍く、エネルギー消費を促す交感神経がうまく作動しなければ知らず知らずに太っていく。
つまり、いくらダイエットに励んでも、根本の自律神経活動を改善しなければ意味がないのだ。

 

食事量を減らすことで一時的に体重は減っても、エネルギー消費に結びつかなければ、いずれ待っているのは隠れ肥満に、メタボリックシンドローム。
そう、本当に太りにくいカラダを作りたいなら、自律神経を活性化させる為の食事学をマスターする必要があるのだ。

 

残念ながら、自律神経の働きは加齢によって低下していく。
これは避けられない。
だが、それ以上に食生活を含むライフスタイルによって必要以上に機能を低下させている可能性は高い。
改善の余地、大ありというわけ。

 

さて、最近太りやすくなってきたというそこのあなた。
モナリザ状態に陥っていないだろうか?
チェック表で思い当たる節が多いという人は、要注意。
今すぐ日々の食事と生活を改めなければ、自律神経の働きは鈍くなるばかり。
今年もまた、その場限りの体重に一喜一憂するダイエット難民になるか、そこから脱却するか。
人生の分かれ目は、今後の生活習慣次第ということをお忘れなく。